鳩の被害/2015.08.05
鳩による感染症
危険な病気の媒介者
街を歩いていると、あちこちで見かける鳩の糞。また、目には見えなくても辺りを舞っているかもしれない鳩の羽毛。これらは、感染症の原因となるウイルスや病原菌を運びます。鳩の生息や繁殖を防ぐことは、感染対策にもつながるのです。今回は、鳩による感染症の中でも、人間に深刻な健康被害を及ぼしうるものについてご紹介します。
■クリプトコックス症
クリプトコックス症は、カビの一種であるクリプトコックス属真菌によって引き起こされる感染症です。土壌に広く分布する珍しい菌ではなく、猫を媒介として感染することもあります。鳩の糞にはクリプトコックス属真菌の餌となる成分が多く含まれているため、鳩の糞を媒介とする感染が特に危ぶまれているのです。
クリプトコックス属真菌は、経口感染、すなわち口に入ることによって感染します。たとえば、乾燥した鳩の糞が風で舞い上がったり、小さな子どもが鳩の糞を拾ったりして、人間の口に入ってしまうケースがあります。体内に入ったクリプトコックス属真菌は、主に肺の中で増殖します。しかし、健康な大人が感染することは少なく、たとえ発症しても重症化することはめったにありません。症状に気づかないまま、治ることもあります。ただし、免疫力が低下している人は感染リスクが高く、発症すると重症化しやすいので要注意です。
クリプトコックス症の主な感染対策は、鳩の糞が溜まらないよう小まめに掃除すること。さらにいえば、鳩が寄りつかないように鳩対策を講じることです。なお、クリプトコックス属真菌は乾燥に強く、2年以上生存するといわれているので、古い糞でも油断してはいけません。大量の鳩の糞を掃除するときは、手袋・マスクを着用するか、専門の業者に撤去を依頼することをおすすめします。
■鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザは、鳥類を中心に感染するA型インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。多くの鳥類が腸内に原因ウイルスを保有しています。野鳥に発症することが少ない反面、鶏、あひる、七面鳥といった家禽が感染すると、強い感染力を示して大量に死亡する恐れがあります。
通常、鳥インフルエンザが人間に感染することは稀ですが、世界には鳥インフルエンザがヒトの間で広まった例もいくつもあります。
鳥インフルエンザへの感染対策としては、不用意に鳥類に近づかないことが挙げられます。特に市街地に生息する鳩は人馴れしているため、餌を求めて寄ってくることもありますが、触れたり顔を近づけたりしないようにしましょう。鳩の糞についても同様です。なお、商業施設や公共施設、集合住宅では、できるだけ鳩を寄せつけないように鳩対策を行うことが、鳥インフルエンザへの感染対策につながります。
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