鳩の生態/2015.08.05
鳩が減らない理由
どこにでもすぐに増えていく鳩
都会では、公園や街角、またはビル群や工場などでも非常に多くのドバトを見かけます。その理由の1つとして、鳩が人間の生活圏内にまで進出してきているという点を挙げることができます。なお、鳩がこれほどまでに多くみられる理由として、他にも自然・生態的な理由や人為的な理由を挙げることができます。
以下では、この2つの理由についてそれぞれご紹介します。
■自然・生態的な理由
自然・生態的な理由として、鳩の繁殖力の高さが挙げられます。ドバトの繁殖期は3月から11月頃までと長く、その間で平均で5回、多い時で7回も卵を産むことがあります。近年は室外機や熱を発する機器の影響からか、温かい環境で生活できるため、冬場でも卵を産むといったケースも見受けられます。雛鳥を育てている最中に次の産卵を行うこともあり、育雛と抱卵を同時に行うことから、1年により多くの繁殖が可能なのです。ドバトは群れで行動するため、番を見つけることが容易なことも繁殖能力が高い原因のひとつです。
また、天敵が少ないことも鳩が減らない理由として挙げられます。鳩の天敵はワシ、タカ、フクロウ、カラス、猫などですが、この中で人間の生活圏内で見かけることが多いのはカラスと猫だけです。タカ、ワシ、フクロウのような猛禽類も全く見かけないわけではありませんが、遭遇する可能性は極めて低いといえます。そのため、捕食される心配はあまりありません。
また、昔は鳩を狩猟対象としていたこともあったようですが、現在は非狩猟鳥獣に指定されています。なお、キジバトは食べられることもあるようですが、ドバトに関してはそういった文化はありません。
■人為的な理由
前項の自然・生態的な理由とは別に、人間が原因となっている理由もあります。その最たるものが、鳥獣保護法です。
鳥獣保護法は、正しくは「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」というもので、日本国内の鳥獣の保護と狩猟の適正化を図る目的で環境省によって定められている法律です。この法律の対象となるのは野生の鳥類と哺乳類で、ドバトもこの対象に含まれています。そのため、駆除のために殺傷することはもちろん、捕獲したり卵を捨てたりすることも禁止されています。これを破ると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。ドバトは狩猟対象でもないため、どんな場合であっても意図的に殺傷することはできません。(キジバトは狩猟鳥獣として許可されています。)
鳩が減らない他の人為的な理由としては、鳩のエサになるものが多いという点が挙げられます。公園で鳩にエサをあげている光景はよく見かけますが、こういった行為は鳩が繁殖する大きな原因になります。寄ってくる様子が可愛いからといってその後のことを特に考えずにあげてしまうことがありますが、周辺地域での鳩被害のことを考えなければなりません。
また、近年はビルやマンション、工場や倉庫などが数多く建設されていますが、これらは鳩にとって絶好のねぐらとなります。もともと鳩(原種のカワラバト)は岩場に生息していた鳥で、周囲を何かで囲まれた空間を好みます。マンションやビルは、ベランダの室外機裏であったり、屋上の給水設備の下であったり、鳩が好みそうな空間が数多くあります。工場や倉庫の場合は天井の梁やダクトなども鳩にとっては安全に営巣ができる場所なっています。
■判断基準となる知識を身につける
鳩が減らないのには、それなりの理由があります。なかには人間が無意識にやっていることが繁殖を促す結果になっていることもあるため、注意が必要です。鳩の対策をする場合、鳩を近寄らせない、住み着いた鳩を追い出すということも大切ですが、そもそも何故鳩がこうまで増えているのかを考えることも大切です。鳩を増やさない努力をすることで、長期的に見て鳩の被害を少なくすることができます。数多くある原因の中には個人ではどうしようもないこともありますが、それを判断するためにも正しい知識を身につけるようにしましょう。
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