鳥種別の鳥害対策
日本鳩対策センターでは、鳩、カラス、ムクドリ、スズメ、カモメ、ヒヨドリなど、様々な鳥害でお悩みの問題を解決いたします。
一概に鳥の対策といってもその習性や生態を熟知して対応することがとても大切です。ここでは、その中でも特に問題が多い鳩、カラス、ムクドリ、スズメ、ウミネコの被害について説明したいと思います。
目次
鳩 分類:ハト目ハト科
鳩は、姿は愛らしいが、一方で鳴き声やフン害に悩む人々も…。鳩を知って鳩対策を
鳩はコンクリートの建物や橋梁を好んで巣を作ります。都会にいるほとんどの鳩は、輸入種のカワラバトが野生化したドバトと呼ばれる種類です。
鳩の特徴
・ドバト
全長約33.5cm、体重約300gくらい。
飼われていた鳩が野生化したものです。灰色のものが普通ですが、様々な色や模様があり、変異が大きいです。ドバトはキジバトより翼を上げた形、滑空時にはV字型を保って飛びます。
・キジバト
全長約33cm、体重約220gくらい。
全体に灰褐色で、首に茶色の鱗状模様があります。首に縞模様があります。幼鳥は首の縞模様が薄いです。「デデー(デッデ)ポッポー」と低い声で繰り返し鳴きます。雌雄2羽で見ることが多いです。3羽で見かけられる時は親子の可能性が高いです。繁殖期に雄は巣の周りを鷹のように滑空して飛ぶディスプレイフライトをします。これは、なわばり宣言の意味があると言われています。
鳩のすみか
・ドバト
日本全国で野生化して周年生息しています。市街地に多いです。
ビルや橋と言った建造物の雨のかからないところに巣を作ります。河原、崖などの穴倉を好みます。岩場に巣を作って生活してきたカワラバトの習性を受け継いでいるドバトにとって、ビルやマンションが林立する都会は最も生活しやすい環境といえます。
マンションの場合、人の気配の少ないベランダに置かれたエアコンの室外機の隙間や植木鉢の隙間を狙って巣を作ることが多いようです。
とくに、留守の多い家のベランダは格好の塒となります。
・キジバト
全国に広く分布しています。北海道や本州北部では冬季に少なくなります。北海道では夏鳥とされています。市街地から山地まで生息しています。樹上に枝を粗く組んだ皿状の巣を作ります。林だけでなく、潅木林や公園、庭木、街路樹などにも巣を作り、駅舎などの建物に巣を作ることもあります。
鳩のエサ
鳩類は、一端「そのう」(食道の一部が袋状になったもの)に蓄えた餌を筋胃(砂のう)に少しずつ送ってすりつぶします。餌はほとんどが植物質です。農耕地に生息するキジバトとドバトは主として穀類(麦類、稲類)や豆類(大豆、小豆等)を餌として、その他雑草種子などを食べています。場所によって、キジバトとドバトでは食べ物が違うようです。鳩類は、特定の植物を選んでいるというよりも、その場所でその時期にとりやすい餌を食べているようです。とうもろこし、稲などの種を食べます。出芽前の種子を食べます。その他、野菜も食べます。雛は親鳥の出す「ピジョンミルク」で育ちます。成長すると豆などの穀類や雑草の種子が好きですが、ミミズやカタツムリ、バッタなども食べます。雑食性です。
繁殖
繁殖期は、北日本では4月から10月ぐらいですが、西日本や、都市部に至っては年中繁殖します。この間に繁殖を繰り返し試みますが、1回に2卵しか生みません。キジバトの抱卵期間は15~16日、育雛期間は14~19日で、ドバトもほぼ同様です。鳥は普通虫など餌を食べて育ちますが、ハト類は雛に「ピジョンミルク」(クロップミルクとも言います)という特別な餌を与えます。これは、元来食物を一時所蔵する機関である、そのうの内壁が剥離したものです。乳白色をしていて、タンパクや脂肪に富んだミルク状の物質です。ミルクといえば、メスが出すものと考えがちですが、雄も雌も分泌します。虫を親鳥がわざわざ取りに行かなくても雛はこれにより育つことができます。また、鳩類は消化吸収効率の悪い植物質の餌だけで繁殖することができます。鳩は、繁殖能力が非常に高い鳥なのです。
最も重要なのが「エサをやらない」ということです。都会でドバトが増えている一番の原因は、ドバトに餌をやる人がいることです。
環境省のポスターには、「エサの量が減ると鳩は増えません」と題して、「広島市では平和公園を中心に鳩のフン害などが問題になり、平成6年より売店でのエサの販売を中止しました。同時に、エサを与えないように呼びかけ、鳩の生息数を5分の1まで減少させることに成功しました」と記されています。
ともあれ、彼らの繁殖を押さえるにはエサをやらないことが大切です。
よくある鳩の被害
鳩から私たちが受けるストレスの報告例は年々増え続けています。
ここでは、その実態を種類別に分けてみました。
感覚被害
・鳴き声・羽音がうるさく落ち着かない。
・鳩そのものが気持ち悪い。
・また鳩が来ているのではないかと気になる。
・掃除をしても安心できない。
・鳩自身や糞・巣の臭いが不快である。
美観被害
・看板、壁に糞が垂れている。
・巣を作られてしまい、草木に羽毛が溜まってしまう。
・掃除をしても完全にはきれいにならない。
・つまり人間の生活空間の美観を損ねる。
生活被害
・ベランダ、公園のベンチ・道路等が鳩の糞で汚れており、利用できない。
・糞を長期間放置したままにしておいたら金属が腐食してしまった。
・農作物が食べられてしまった。
・上層階の鳩の糞が排水溝を詰まらせてしまい、下層階まで被害が及んでしまった。
・洗濯物に糞をかけられてしまう。
・飛来が多い為、物件の価値が下がってしまう。
衛生・健康被害
最近ではこの病気の増加が新聞などでも大きく報道されるようになってきました。鳩はクリプトコッカス症、脳炎など様々な病原菌を伝播します。クリプトコッカス症とは、肺炎に似た病気ですが、死に至る恐ろしい病気です。また鳩には、ハトヒメダニなどのダニ類、ハトトコジラミなどの昆虫類が寄生しています。この中には人間を刺す寄生虫も含まれており、健康を損なう恐れがあります。
カラス 分類:スズメ目カラス科
中型で全身が黒く、ハシボソガラス、ハシブトガラスなどがよく見かけられます。
ゴミの多く出る市街地や住宅街に多いようです。昔は山や森、林に住んでいたカラスと共存をしていた私たちですが、現代では私たち人間の現在の住処との共生をはかっていかなければならないこととなりました。
カラスの特徴
・ハシブトガラス
全長56cm、体重600~750g。
全身黒色をしています。嘴は太く、上嘴は大きく湾曲しています。額は盛り上がって、丸みがあります。出っ張って見えます。「アーアー」「カーカー」と澄んだ声で鳴きますが、濁った声でも鳴き色々な声を出します。九官鳥のように人間の声や、猫等動物の声を真似るカラスもよくテレビで紹介されています。様々な声を出すことが出来るようです。
・ハシボソガラス
全長50cm、体重320~686g。
全身黒色をしています。嘴はハシブトカラスより細く、湾曲は少ないです。「ガーガー」「ガアァガアァ」と濁った声を出します。
・ミヤマガラス
全長47cm、体重325~516g。
全身黒色をしています。嘴は細く尖っています。成鳥では嘴の基部が灰白色で目立ちますが、幼鳥では黒色をしています。ハシボソガラスに似た濁った声を出します。
カラスの生息地
林、森、山の木の上を住処としています。森、林など木がある場所の他にも、まれな例として鉄塔の上という場合もあります。この場合、カラスの作った巣の材料によって、停電が起こることがあります。主に、交通や電気の建物に被害が多いです。カラスの住処は、私たちの住居とは離れていることが多いのであまり被害とはかかわりがないように思われます。しかし、カラスは餌場を探したりする為に朝ミーティングを巣とは違う場所で行います。その場所が、マンションの上であったり、ゴミ捨て場の近くの場所であったりするのです。餌場、つまり食べ物の集まる場所=人間の近くになっています。ミーティングのための鳴き声が騒音となってしまいストレスを感じます。また。マンションの屋上などで群れた場合は、カラスがいたずらのためや、防水のために付けられているコーティング材の甘さに興味をしめしてつついたりして防水層が壊れてしまったなどの被害を聞きます。人間が感じるストレスは、騒音と、いたずらによる被害が大きいと考えられます。
カラスのすみか
・ハシブトガラス
日本では留鳥として全国に生息しています。人家の近くでも多く見かけられます。
・ハシボソガラス
日本では留鳥として全国に生息していますが、沖縄ではまれな冬鳥とされています。農耕地や河川敷のような開けた環境を好みます。
・ミヤマガラス
冬鳥として西南日本を中心に渡来します。特に九州でよく見かけられます。
近年は、越冬分布を日本海沿に東へと範囲を広げています。
市街地、農耕地、林、河原、海岸、山地などいたるところで見かけられるようになりました。ハシブトガラスは市街地や林を好みますが、ハシボソガラスとミヤマガラスは農耕地など開けた場所を好みます。
カラスのエサ
昆虫や種子、果実を主に食べますが、鳥の卵、ヒナ、残飯や動物の死体なども口にし雑食性です。ハシブトガラスはハシボソガラスに比べて動物質の餌を好む傾向があります。食べ物をその場で食べずに、木の枝や建物のすきまに蓄えて後で取り出して食べる貯食行動を行います。クルミを食べるカラスもいます。硬いクルミをどうやってカラスが割るか知っていますか?人間の車の前にクルミを置いて、車に轢かせるカラスもいるそうです。そんな頭を使うカラスは、犬ぐらいの知能を持っていると言われています。また、カラスは咽に食べ物を溜め込むことが出来ます。つまり、咽が貯蔵庫としての機能をはたしているのです。
繁殖
3月から7月に樹上や高電線の鉄塔に木の枝や針金などで巣を作り、一回で3~5個の卵を産みます。抱卵は雌だけしかしません。20日前後で卵は孵化し、雌雄でヒナに餌を与えて約35日程で巣立ちに至ります。巣立ちした後も、50~100日ぐらいは家族で行動します。ミヤマガラスは日本では繁殖を行いません。一夫一婦制。夫婦で行動します。子育て時のカラスは大変デリケートで、巣に近づいた人間を襲う被害が多くなっています。
これは、カラスの巣を作る場所が人間のそばになってきたからこそだと考えます。
また、カラスは声を使って仲間と会話します。加えて高い学習能力も持っています。
よくあるカラスの被害
ゴミに関する被害が多いです。ゴミ袋をあけて散らかしたり、電柱の上から餌場であるゴミ置き場を覗いて不気味であるという被害が多く取りざたされています。これの多くは人間が夜からゴミを放置していたり、ゴミの量が増えたということに起因しています。カラスをただ攻め立てるのではなくて、人間も見つめ直すことが必要ではないでしょうか?
カラスの対策方法
主な対策は、カラス用のスパイクの設置、ネットで侵入を防ぐ、待機場所などに電気ショックを行うなどの対策を被害状況に合わせて実施します。
スズメ 分類:スズメ目ハタオリドリ科
人の生活に密着して生息している鳥で、
「チュン、チュン」「ジュクジュクジュク」などと鳴きます。
小型でずんぐりした体型で、頭から背面は茶色の色彩の中で白い頬に黒斑があるのが特徴。下面は白っぽく、黒い嘴は太くて短い。幼鳥は嘴がやや淡く頬の斑が著しく淡い。
市街地や人里付近、農耕地、河原、山地、など幅広く分布しており、雑食性です。2月〜9月が営巣期間で普段は種子を食べますが、繁殖期は昆虫などを食べます。スズメは近年、個体数の減少が報告されていて、駅前や道路の街路樹でもねぐらをとり、騒⾳、糞害が問題となっています。9 ⽉下旬になるとこの⼤きな群れは崩壊を始め、⼩さな群れとなって村落に戻ってきます。
スズメの特徴
全⻑ 14-15cm,体重 20-25gくらい。雌雄同⾊。ずんぐりした体型で、頭から背⾯は茶⾊の⾊彩の中で⽩い頬に⿊斑があるのが特徴。下⾯は⽩っぽい。嘴は太くて短い。成⿃の嘴の⾊は繁殖期は⿊いが⾮繁殖期になると根本が⻩⾊くなる。幼⿃は嘴がやや淡く頬の斑が著しく淡い。
スズメの生息地
ユーラシアの温帯と亜熱帯に広く分布。⽇本では⼩笠原諸島を除く全国に分布する。⼈家とその周辺の樹林、農耕地、草地、河原に⽣息する。深い森林の奥には⼊らず、⼭奥の農耕地のない⼈家や、⼈が住んでいない廃村にもいない。成⿃は定住性で 1 年中同じ⾏動圏の中で⽣活をしているが、冬に厳しい環境になる地域では成⿃も移動する。
スズメのエサ
主として種⼦⾷で、とくにイネ科、タデ科、キク科などの⼩粒状の乾いた種⼦を好む。稲や⻨など穀類の未熟な種⼦の胚乳や落ち穂を⾷べるが、あらゆる種類の雑草の種⼦も⾷べる。動物⾷としては、⼩型の昆⾍、クモ類などを⾷べる。とくにヒナには昆⾍やその幼⾍を与えるため、春から夏の繁殖期には動物⾷の⽐率が⾼くなる。
繁殖
繁殖期は 2-9 ⽉、多くは 3-6 ⽉で、年に 1-3 回繁殖する。⼈家の屋根、壁などのすき間、樹洞、巣箱などにわらくずなどを⽤いて雌雄共同で巣を造る。1 回の繁殖で 4-8 個の卵を産む。抱卵は雌雄で⾏い、約 12 ⽇で ふ化する。育雛も雌雄が⾏い約 14 ⽇で巣⽴つ。巣⽴った後は家族群で⽣活し、巣⽴ちヒナは約 10 ⽇間親の給餌を受ける。
よくあるスズメの被害
主に鳴き声や糞害です。スズメは巣の中で糞はしませんが少し離れた待機場所で糞をします。また工場や倉庫での被害が多く、屋根の隙間や耐火シートに穴を開けて営巣したりします。
スズメの対策方法
営巣箇所をネットで侵入を防ぐ対策方法になりますが、スズメは鳩などに比べて体が非常に小さい為、ネットは18mm角を使用し、留め具も通常の施工に比べかなり細かく設置する必要があります。
ムクドリ 分類:スズメ目ムクドリ科
小型で黒褐色、お腹は淡い色、くちばしと足はオレンジ色をしています。「キュルキュル」「ジャージャー」「ケケケ」「ジェー」「ツィッ」と
色々な声で鳴きます
ムクドリを最近よく街中で見かけるようになりました。駅や街路樹で群れています。昔は林や、森に住んでいたムクドリと共存をしていた私たちですが、現代では私たち人間の現在の住処との共生をはかっていかなければならないこととなりました。
ムクドリの特徴
全長24cm、体重75~90g
背は黒褐色で、お腹は淡い色、頭・翼・尾は黒味が強い色をしています。頭頂から頬は白色をしています。まるでお化粧をしているみたいです。足と嘴は橙色です。「キュルキュル」「ジャージャー」「ケケケ」「ジェー」「ツィッ」と色々な声で鳴きます。足を交互に出して歩きます。
ムクドリの生息地
駅、街路樹など街中にある樹木の上を住処としています。町を生活の拠点としている私たちにとって、ムクドリが営巣している場所でのフン被害=衛生被害と言うのはとてもストレスを与えています。又、果樹園、牧場などに住み着き食害等の被害を人間にお与えることも増えてきました。
ムクドリのすみか
日本全国に生息しています。農耕地、公園、庭園、林、牧場、果樹園、ゴルフ場など植物、樹木があるところを好みます。夕方から街路樹で大量に集まっているのをよく見かけるようになりました。
ムクドリのエサ
ミミズ、両生類や昆虫を主に食べますが、雑食性です。桜の実、エンジュなどの木の実、梨、桃、ブドウ、リンゴ、柿を好んで食べますが、柑橘系の果樹は食べません。柑橘系等すっぱいものは、嫌いなようです。
繁殖
3月下旬から7月までが期間で、年に1・2回繁殖期があります。一夫一婦制。枯草、羽毛、獣毛、落ち葉などで巣を作り、薄い青緑色の卵を4~7個産みます。雌雄で抱卵し、約12日で孵化し、その後23日で巣立ちをします。巣立ちしたヒナは1ヶ月間は親と行動を共にします。巣立ちが短いために、繁殖数が多い鳥です。
よくあるムクドリの被害
果樹を食べられる等の食害が大きな被害となっています。その時期は、主に果樹の収穫時期である6月~10月頃です。東北地方では、6月に桜桃の被害が一番多くなっています。また、収穫期である初夏から秋にかけては、梨・ブドウ・桃・柿などの果実の被害の声があがっています。ムクドリは、嘴をさして果樹を傷つけたり、傷つけた穴から食べていったりして、商品価値のある果物を駄目にしてしまいます。
ムクドリの対策方法
ネットで営巣箇所の侵入を防ぐ対策方法が一般的です。街路樹などは、木を丸ごとネットで覆う対策をすることで木への営巣や待機を防ぐことができます。
ウミネコ 分類:チドリ目カモメ科カモメ属
「ミャー ミャー」という鳴き声が猫に似ていることから、ウミネコと呼ばれています。
日本全国の海岸でほぼ一年中見られる鳥です。小さな島や岩礁などに集って繁殖します。
ウミネコはカラスほどの大きさで、尾に黒い帯があり、黄色いくちばしの先に赤と黒の模様。黄色い足が特徴です。
よくあるウミネコの被害
近年、東京都江東区や墨田区、台東区などで被害が多く寄せられています。主にマンションや事業所ビル屋上の緑化スペース等 で巣を作り産卵・繁殖を行っています。
群れで行動するため、鳴き声による騒音や糞害が発生しています。
ウミネコの対策方法
ウミネコは鳥獣保護管理法で捕獲や卵の採取が禁止されているので、巣を作らせないように、根本的な対策を行う必要があります。
屋上緑化部分に単管パイプで枠組立を行い、そこに防鳥ネットを設置しウミネコが寄らないようにする。またパラペットに電気ショックの設置を行うことでより屋上にとまることを防止します。
サギ 分類:コウノトリ目サギ科
特徴
飛ぶときに首を折り曲げるのが他の鳥にはないサギの特徴です。
もっとも小さいサギは、新大陸に生息するコヨシゴイ(Ixobrychus exilis)で、全長 28cm。もっとも大きいサギは、アフリカからインドに生息するオニアオサギ(Ardea goliath)で、全長は少なくとも 140cm あります。日本で最大のアオサギですら 90~98cm ですから、サギというより、コウノトリやツルのような大きさです。
シラサギ類のように目立つものだけでなく、ヨシゴイやミゾゴイのように周りにとけ込む色彩のものも少なくありません。夏羽と冬羽、あるいは成鳥と幼鳥で羽、くちばし、脚などの色が違っていて、けっこう種の識別がむずかしいようです。
シラサギ類は日中にしか採食しませんが、ゴイサギのように夜行性のものや、クロサギやアオサギのように潮汐の周期に合わせて活動するものもいます。
サギの生息地
熱帯から温帯まで採食に適当な水辺さえあれば生息していますが、熱帯から亜熱帯で特に多くの種が見られます。日本ではチュウサギとアマサギは夏鳥とされますが、かなりの数が本州南部以南、特に南西諸島で越冬します。ゴイサギとコサギ、ダイサギ、アオサギは留鳥と言われていますが、フィリピンなどへ渡る個体も多くいます。
サギのすみか
サギのエサ
サギ類に共通した特徴は、小動物を地上で、視覚で見つけて採ることでしょう。主な餌動物は、魚や両生類などの小型の脊椎動物や昆虫・甲殻類などです。互いによく似ているサギ類ですが、種によって餌や採食方法が微妙に違うことが知られています。
集団繁殖するサギ類では、巣(コロニー)と採食地は平均でも数キロメートル、最大で 15~20km ほども離れています。
繁殖
樹上や密な植生の中、地上、崖の上などに枝を組んで巣をかけます。樹上に巣をかけることが多いのですが、地上にも営巣することも珍しくありません。動物園のケージの上など、人工構造物に営巣することもあります。ふつう一夫一妻のつがいで1回に2~5卵を産み、半早生成の雛(孵化したときには羽毛におおわれているが歩けない)に吐き戻しで餌を与えます。
よくあるサギの被害
サギ山には、餌や採食環境が少しずつ違う 6 種もの捕食者が集まっているわけですから、広い範囲での環境変化を反映する生物指標として優れています。鳥を数えたり、行動を見たりする環境教育の場としても使えるでしょう。かつての野田のサギ山(埼玉県)には観察タワーが設置されていて、見学者がたくさん訪れたといいます。一方で、サギ山が住宅地に隣接していると、糞が洗濯物や車に落ちる、夜間に雛の声(ゴイサギ)がうるさい、臭い、といった「公害」を引き起こします。
サギの対策⽅法
まず複数のサギ山を見つけて個体数を知ることが必要です。
サギ山問題を解決するのは容易ではありません。法的な問題も生じうるので、勝手に対策を講じたりせずに、まず自治体と相談してみましょう。私たちが茨城県中南部で 1999 年に見つけた21 カ所のサギ山のうち、7 カ所は翌年には使われませんでした。悲しいことに、うち 4 カ所では林が切られており、他の 2 カ所でも住民による追い払いが確認されました。
雛がいったん孵るとサギの親鳥たちは音などで脅かしたぐらいでは立ち退きません。気がつくのが遅れた場合、その年には人の側がフン対策や臭い対策をするしかありません。遅くとも 9 月下旬になれば繁殖は終わりますから、3 ヵ月ほどのがまんです。
しかし、次の春に来ないようにすることはできます。3 月中旬から、隔日~数日おきにサギが渡来しているかどうかを観察します。日没 1 時間ぐらい前の夕方に観察するのがポイントです。
もし来ていれば爆竹や打ち上げ花火、ロケット花火、クラッカー、ラジコン飛行機などで追い払います。この時期なら数日繰り返せばこなくなるはずです。その後も1カ月ぐらいは数日置きに監視(飛来していないかどうかのチェックと必要なら追い払い)を続けます。